声を発すること

先週、名古屋で行われた、ある経営者の会の全国総会に参加させて頂きました。中小企業家同友会全国総会です。

初日のプログラムは3部構成で、第1部が今後の方針などの提案、第2部が方針を深掘りする分科会、第3部は懇親会でした。第2部の分科会について、私は、中小企業金融をテーマとする会に参加させて頂きました。

この会に出席することで、「中小企業が声を出すこと」の大切さを学びました。

この分科会は、4部構成で行われました。分科会リーダーのレクチャーでは、金融庁が昨年9月に発表した「金融仲介機能のベンチマーク」を中心に、最近の中小企業金融環境が総括されました。第2部は東京のとある支部長のレポートで、1997〜98年のいわゆる「貸し渋り・貸し剝がしの嵐」時代から現在までの取組みが紹介されました。第3部は事業性評価に積極的な地域金融機関の取組み報告、第4部は参加者によるディスカッションです。

1997〜98年は、日本政策金融公庫(当時は前身の一つである中小企業信用保険公庫)に在職していた私にとっても、非常に印象に残る年代です。1990年頃からバブル経済が崩壊しましたが、金融統計を見る限りは、土地や株などの下落により発生した急速な信用収縮に見合った現象は起きていないというのが実感でした。それは、金融機関の抱える不良債権という形で隠匿されていたのでしょう。三洋証券や北海道拓殖銀行などの経営破綻をきっかけにそれが白日のもとにさらされ、金融機関は急激に疑心暗鬼になり、中小企業への貸出抑制や貸出金回収を行うようになったのです。

この現象に対応して政府は「中小企業金融安定化特別保証制度」を設けました。「ネガティヴチェック」による簡易な審査による保証で、信用保証制度の利用が進み、それ以前は約20兆円だった残高が数年のうちに倍増しました。

この中で一部の中小企業は、地域金融機関には中小企業に親身に向き合ってもらうことが問題の根本的解決方法になると考えたようです。その仕組みとして「金融アセスメント」という考え方が提唱されました。地域金融機関が自分たちに親身に向き合ってくれているかを中小企業が評価することで、地域金融機関と中小企業の良好な連携を目指すものでした。

「金融アセスメント」は、結局は実現しませんでしたが、昨年秋に金融庁が発表した「金融仲介機能のベンチマーク」は、中小企業に親身に向き合うことこそ地域金融機関の存立基盤となるという考え方がベースにあると考えられます。金融庁が「金融アセスメント」を参考にしたかどうかは分かりませんが、金融機関を指導する金融庁も同様の精神に則って金融行政を進めるようになったと言えそうです。

このような流れであることを鑑みると、何か問題が生じた場合には自分なりの解決策を口に出して言ってみることが大切なのではないかと感じます。それがWin=Winの考え方に則っている場合には、特にそうです。貸し渋り、貸し剝がしをする金融機関に敵対して強権でもって融資するように要求するのではなく、中小企業と金融機関が情報交換し合い、互いに意見を言い合って連携することを目指した「金融アセスメント」は、まさにWin=Winのソリューション提案だったと感じられます。

昨年秋に金融庁が「金融仲介機能のベンチマーク」を発表したからといって、今現在、金融機関と中小企業が連携できるような環境になってきたとは言えないのかもしれません。しかし「そうして欲しい」という声を発することはできるのではないかと思います。事業性を評価して融資して欲しいと申し出ることによってです。

一方でこのアプローチは、中小企業にも「情報を提供する。自ら創意工夫して、それを実行すると約束する」ことを求めることになります。金融機関にだけ歩み寄りを求めるのではなく、中小企業の方も、歩み寄る努力を行うことがポイントになります。

その会合でも発表されたように、事業性評価による融資に積極的に取り組んでいる金融機関も存在します。そのような金融機関と、情報開示や経営改善に前向きな中小企業が相まみえて「連携」と呼ぶにふさわしい体制を築いていけたらと考えています。そのお役に立つことがあれば、積極的に果たしていこうと思っています。



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