目標達成への意欲

先日、ある会社の支店長会議に参加させて頂きました。

その会社では、月に1回、支店長会議を開催しています。今年度の売上・利益目標達成の進捗報告と、前月の活動報告、今月の活動方針と実績見込みを発表し、情報共有するのです。

その時、社長からも指摘があり、私も非常に違和感を覚えたのが、各部門責任者から上がってくる今月の実績見込みが当初目標を下回っている場合があること。

担当者の怪我などで突然に欠員が生じ、短期間ではフォロー策が取れなかったのでどうしても今月は目標値を達成できないということならば、仕方のないことなのかもしれません。しかし、そのような事情がない中で、年度当初に設定した当月目標を達成できない見込みしか立てられないことについて、違和感があります。

もっというなら、それについて社長から「おかしいのではないか?」と指摘があったのに、支店長から「本見込み数字は~という計算方法で算出した客観的な数字だ。こういう数字が出てしまった以上、仕方がない」という返事が返ってきたことに、大いなる違和感を覚えます。

このようにいうと「しかし、実際は支店長が言うように、現場の実態を踏まえて見込みを算出したのだから、それで仕方がないのではないか」という声が聞こえてきそうですね。私も、サラリーマンの、現場担当者もしくは現場マネジャーだった時にはそう思いました。

しかしよく考えてみると、そこに出席しているのは支店長、すなわち上級マネジャーです。現場マネジャーが出してきた目標値に達しない見込み値をそのまま支店長会議で報告するなら、上級マネジャーとして存在している意味がありません。現場マネジャーが目標を達成できない数字を上げてきたら「どうしたら目標を達成できるようにエクステンドできるのか」を一緒に考え、実際に目標を達成できる数字を計画することが、上級マネジャーの役割です。それを行うことで、上級マネジャーとしての存在意義を果たしたと言えます。

例えば、ある現場について月間1,200万円の売上目標が立てられているのに「100件訪問して、そのうち成約にこぎ着けられるのは平均10件。だから1,000万円の売上しかならない」という見込値を出してきたとしましょう。その場合に、訪問件数を120件にエクステンドする方法、もしくは成約割合を10%から12%に上げる方法を考えるように促すのが、上級マネジャーの役割です。

それを実践するにはいくつかの方法があります。コーチングして現場自身に考えるように促す方法もあれば、上級マネジャーから昔の成功事例を話してあげることもできるかもしれません。営業セミナーなどで学ぶなど「急がば回れ」を提案できる可能性があります。もっと他にも方法があるかもしれません。肝心なのは、設定した目標を実現するために全力を尽くす、関係者の知恵を集めるという行動パターンを植え付けることです。

これは、つまり「マネジメントをうまく機能させる」ことです。現場マネジャーは、自分に割り当てられたマネジメントを実行することが要求されていますが、上級マネジャーにはそれ以上の仕事、つまり自分の部下が行うマネジメントから所定の成果が得られるように導くことまでが求められています。

「上級マネジャーには、是非、その役割に気がついて欲しい」と強く思いました。そして、それに気が付かせ、実践してもらうようにするのが社長の役割だし、それを支援するコンサルタントの役割です。これから是非、手がけていきたいと思っています。



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